少し難しい話になりますが、マクロビオティックでは、東洋思想に基づいて、食養法を
包括するものとして宇宙原理が説明されています。
人間も自然の一部であることから、マクロビオティックの実践では、食事だけでなく、
宇宙の原理に沿って心(意識)を正しく使います。
そして、宇宙の秩序を理解して、宇宙のあり方に従って自然のままに、正しく生活する
ことで、心身ともに健康で幸せな生活を送ることができる、といわれています。
宇宙の秩序 7つの原則
マクロビオティックの思想の基盤となっている2つの宇宙法則として、
久司道夫 氏 の「マクロビオティック健康法(正食のすすめ)」日貿出版社、から
以下、「宇宙の秩序 7つの原則」と「無限宇宙の12の変化の法則」を引用します。
宇宙の秩序 7つの原則
- ① すべてのものは、唯一なる無限から分化した。
- ② すべてのものは変化する。
- ③ 対立するすべてのものは、相補的である。
- ④ 同一のものはなに一つない。
- ⑤ 表があれば、かならず裏がある。
- ⑥ 表が大きければ、裏も大きい。
- ⑦ 始めあるものには、終わりがある。
① すべてのものは、唯一なる無限から分化した。
宇宙の万物は、陰(拡散性)と陽(求心性)の結びまたは分化により導き出されたもの。
② すべてのものは変化する。
万物は流転しており、常に変化しているということ。
これが自然の摂理であり、宇宙の秩序です。
③ 対立するすべてのものは、相補的である。
プラスとマイナス、明るい暗い、熱い寒い、男性と女性など、宇宙はどちらが欠けても成り立たない、2つの相反する関係で成り立っている。
④ 同一のものはなに一つない。
この世で同一なものは無く、すべてのものは個性と独自性を持っている。
⑤ 表があれば、かならず裏がある。
物事には必ず表と裏があり、表と裏で1セット(表裏一体)である。
表だけを見て、判断するのではなく、物事の背景を知ることも大事です。
⑥ 表が大きければ、裏も大きい。
この世で体験するのは表があれば裏があり表が大きければ、裏もまた大きい。
実際には良いことも悪いことも、すべて一緒に同居しているのですが、私たちの物の見方によって「良い」ことも「悪い」ことになったり、その逆もまた然りです。
⑦ 始めあるものには、終わりがある。
苦しみの後には必ず喜びがある、生ある者は必ず死あり、物事には必ず始めと終わりがあること。
マクロビオティックとは、この陰陽の原理を、食生活をはじめとする
生きかた全般に応用したもので、宇宙の秩序に従った生き方の実践です。
無限宇宙の12の変化の法則
この宇宙は常に変化しており、あらゆるものが変化しています。
その変化には、十二の法則があり、この法則に沿って陰と陽がたがいに作用して
エネルギーと森羅万象が作り出されていると説明されています。
無限宇宙の12の変化の法則
- ① 一なる無限は、永遠に変化する相補的、対立的な性質の「陰」と「陽」として現われる。
- ② 陰陽は、一なる無限である宇宙の永遠の運動のなかからたえず現われる。
- ③ 陰は遠心的であり、陽は求心的である。陰と陽がたがいに作用してエネルギーと森羅万象を作り出す。
- ④ 陰は陽をひきつけ、陽は陰をひきつける。
- ⑤ 陰は陰をはねつけ、陽は陽をはねつける。
- ⑥ 種々異なった割合で融合した陰陽は、それぞれ異なった現象を作りだす。現象のなかでのひきつけ(牽引)とはねつけ(排斥)の作用は、陰陽の力の差に比例する。
- ⑦ すべての現象は無常であり、陰陽の力の構成はいつも変化している。陰は陽に、陽は陰に転ずる。
- ⑧ 絶対的陰、あるいは絶対的陽であるものは、なに一つない。すべてのものは程度の差こそあれ両性をあわせもっている。
- ⑨ 完全に中性のものはなに一つない。どんなものでも陰か陽のどちらかが勝っている。
- ⑩ 大陰は小陰をひきつけ、大陽は小陽をひきつける。
- ⑪ 極陰は陽を生みだし、極陽は陰を生みだす。
- ⑫ すべてのものの中心部は陽であり、表面は陰である。
マクロビオティックでは、このような陰陽の理論とそのダイナミックな視点が欠かせない、
といわれています。
逆に言えば、陰陽の理論や法則を理解しさえすれば、マクロビオティックが提唱する
「正食」や人間の生き方、幸福をより実感することができる、ともいわれています。
そして、12の変化の法則の3番目の、
「陰は遠心的であり、陽は求心的である。
陰と陽がたがいに作用してエネルギーと森羅万象を作り出す。」
という法則から、マクロビオティックでは、この法則に沿って食物を以下のように
陰と陽に分類しています。
陰の性質
- 陰の性質は「遠心力」で、地球の中心からも遠ざかるように力が働くので、陰性の物質は伸びていくように変化します。
- 『上に伸びていく性質』から、陰性の食物も、天に向かって育ちます。
- 陰性の代表的な野菜には、茄子、トマトなど、身体を冷やす性質から夏に天に向かって育つ野菜が多いです。
陽の性質
- 陽の性質は「求心力」で、地球の中心へと向かうように力が働くので、陽性の物質は沈むように変化します。
- 『下に伸びていく性質』から、陽性の食物も、地に向かって育ちます。
- 陽性の代表的な野菜には、人参、ゴボウなど、地面に根を張り、身体を温める野菜が中心です。
この様に、自分の体質や地域、季節にあった食材を利用することが
宇宙の秩序に沿った、自然の法則に基づいた生活という事です。