味噌と並んで、日本の伝統的な食品の一つである塩、醤油、みりんですが、
さまざまな美容、健康効果に関して、味噌同様によく知られています。
人間は塩なしでは生きられないことは、よく知られていると思います。
体内の水分量や体液の浸透圧の調整や、神経伝達や栄養吸収など、
さまざまな身体の機能を司り、塩分濃度が正常であることが、身体の健康のためには
絶対に必要となります。
また、発酵食品である醤油、みりんも同様に、発酵で作り出されたアミノ酸、ビタミン、
ミネラルなどの多くの天然の栄養素による殺菌作用や抗がん作用など、多くの健康効果が
報告されています。
そして、調理や漬けタレなど幅広い用途で利用でき、美味しくて、健康にも良い万能な
調味料であることは間違いありません。
それでは、詳しく確認していきましょう。
塩(自然塩、天日塩、海塩)
マクロビ的に塩は、にがりを含んだ自然塩を用いることが推奨されています。
塩に関しても、食卓塩と呼ばれる精製塩が安価に売られていますが、
天日塩や海塩などの自然塩に含まれる塩化ナトリウム以外のミネラル分が
すべて除去されて、塩化ナトリウム99%まで精製されています。
このように塩化ナトリウム99%の塩を摂取すると、ナトリウムと対になるミネラルである、
カリウムとのミネラルバランスが大きく崩れてしまい、カリウムが不足することになります。
そして、体内の余分な塩分を排出し、血圧を抑えるカリウムの効果が発揮されずに、
体内に塩分が蓄積されて高血圧の原因となってしまいます。
一方、天日塩や海塩などの自然塩は、そのままでミネラルバランスがとれています。
ナトリウムとカリウム、マグネシウムとカルシウムなど機能を補完して対になるミネラルが
海水と同等のバランスのまま豊富に含まれている為、筋肉や骨も強くなり、過剰となって
血管に蓄積する塩分も排出されます。
実は塩分を控えることにより、神経伝達や栄養吸収などに弊害が出るため、
塩分を控えるのではなく、精製塩を止めて、天日塩や海塩などの自然塩に変えていきます。
そして、ミネラルバランスを正常に保ち、健康的な生活を送れるように工夫して
いきましょう。
醤油(有機丸大豆)
醤油の基本原料は大豆・小麦・食塩で、マクロビ的には、有機丸大豆、
有機小麦、自然塩を原料として発酵させた醤油が推奨されています。
一般の安価に売られている醤油に使われる大豆の8割以上は「脱脂加工大豆」から
造られており、大豆に含まれる大豆油を、サラダ油やマヨネーズなど油性商品のために
取り出した後の、安価な脱脂された大豆が使われています。
大豆を脱脂する際には、「ヘキサン」という化学溶液に大豆を浸し、油分を溶出させ
るのですが、この「ヘキサン」という物質は、ガソリンなどにも多く含まれている
物質とのことです。
「ヘキサン」は、沸点が69度のため、100度以上の高温で加熱することで確実に除去されます。
とは言っても、化学溶剤がどうしても気になる方や健康志向の方は有機丸大豆か
国産丸大豆を使用した、昔ながらの木樽で発酵熟成させて作られた木樽熟成丸大豆醤油を
使うことをお勧めします。
★醤油のさまざまな効果、効能★
発酵食品である醤油には、発酵で作り出されたアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの
多くの天然の栄養素が含まれています。
具体的には以下のように、さまざまな効果、効能があるようです。
- 乳酸、アルコール、アミノ酸、塩などの相乗効果による強い殺菌力、食品の保存効果。
- 発酵過程で生成されたアミノ酸のうまみ成分による、食欲増進効果。
- 味噌同等の「メラノイジン」による抗酸化作用、抗がん作用。
- 「メラノイジン」により食後の血糖値の上昇を防ぎ、消化吸収を助ける。アミノ酸やミネラル成分による血圧を下げる効果
数えたらきりがないほどの、さまざまな効果、効能がありますので、
調理だけでなく漬けダレとしても積極的に利用していきましょう。
みりん(本みりん)
「本みりん」の基本原料はもち米、米麹、醸造アルコールで、発酵過程で生成された
アミノ酸と多くの糖類によるコクとうま味が料理を引き立たせます。
我が家の料理では甘味とコクが必要な際には砂糖ではなく、必ず「本みりん」を
利用しています。
また、砂糖と比較しても圧倒的な低GI値のため、みりんで食事が甘い味に仕上がっても
血糖値の急上昇など気にすることなく健康的に食べることができます。
甘味が砂糖の半分程度なので、料理にもう少し甘味が欲しい場合には、
同じく低GI値のアカシア蜂蜜やオリゴ糖などを併用しています。
★みりんの健康効果★
- ビタミンB群による疲労回復効果
- ビタミンB1、B6により、炭水化物やタンパク質の代謝を補助する。
- 豊富なアミノ酸による滋養強壮効果
- 砂糖と比較して、圧倒的な低GI値のため血糖値を上げにくい。
- 銅とセルロプラスミンが鉄分吸収をサポートし、白髪、貧血を予防する。
★購入する際の注意点★
みりんを購入する際に、注意点を以下に記載いたします。
「みりん風調味料」と記載されたものが店頭に並んでいると思いますが、
これは、もち米の代わりに、水あめなどの糖類や化学調味料等を使っており、
値段も安く、製造方法が「本みりん」とは全く異なります。
「本みりん」は最低でも2ヶ月、長いものでは2年ほど熟成しますが、
「みりん風調味料」は熟成期間はほとんど必要ありません。
マクロビオティック調味料として美容と健康のためにも、お金は少しかかりますが、
裏面の商品表示をよく確認して、「みりん風調味料」ではなく、「本みりん」を
購入するように心がけましょう。
まとめ
生命維持に必須の栄養素であり、料理には欠かせない調味料でもある塩と、
伝統調味料で万能の発酵調味料である醤油とみりんについて記載しましたが、
以下に要点をまとめました。
塩、醤油、みりんの要点まとめ
- 塩はミネラルバランスが取れている自然塩、天日塩、海塩を使用する。
- 塩化ナトリウム99%まで精製されている食卓塩は、以下の理由から使用しない。
・カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの必須ミネラルが除去されバランスが悪い。
・カリウムの効果が発揮されずに、体内に塩分が蓄積されて高血圧の原因となる。 - 塩分を控えるのではなく、精製塩を止めて、天日塩や海塩などの自然塩を使用する。
- 醤油を購入する際は原料が「有機丸大豆」か「国産丸大豆」のものを選ぶ。
- 醤油の「メラノイジン」による抗酸化、抗がん作用などアンチエイジング効果がある。
- 醤油には、食品の保存効果、食欲増進効果がある。
- みりんは、「みりん風調味料」ではなく、「本みりん」を購入する。
- みりんは、疲労回復効果、滋養強壮効果、代謝を補助して、血糖値を上げない。
マクロビオティックの実践は食材選びから調味料の選定まで幅広いですが、
あまり神経質にならずに、こだわりすぎてストレスにならないように、
絶対ではありませんので、出来る範囲から健康を楽しみながら実践してください。