仏教哲学 脳科学・認知心理学・哲学

現代人のための仏教(四聖諦)について

 

前回、初転法輪で説かれた教えとして、中道、八正道に関する説明をしました。

 

初転法輪でお釈迦様の説かれた教えに関して、現代人の生活に照らし合わせながら

前回から引き続き、幸せに生きるためのノウハウとして活用してみましょう。

 

 

今回は、四諦(苦集滅道)、三転十二行相(四諦の完成にいたる)に関して

現代人の生活に照らし合わせながら説明いたします。

 

四諦(苦集滅道)

 

お釈迦様は初転法輪(悟後の最初の説法)で、中道、八正道と合わせて

四諦(苦集滅道)と三転十二行相(四諦の完成にいたる)を説かれました。

 

四諦は、仏教が説く4種の基本的な真理(4つの聖なる真理)である

苦諦、集諦、滅諦、道諦のことです。

 

四諦(4つの聖なる真理)

「苦諦」 人間の生が苦しみであること、この世は一切が苦である。

「集諦」 煩悩、妄執、求めて飽かない愛執による行為が集まって苦を生みだす。

「滅諦」 煩悩を絶滅することで、苦しみを滅した悟りの境地に達する。

「道諦」 そのためには、悟りに導く実践として、八正道に励むべきである。

 

四聖諦(ししようたい)とも言います。

 

お釈迦様は、まず人生は苦である(苦諦)と観じなさい、その苦の原因は

「煩悩」であるとし(集諦)、この煩悩を滅し、制御すれば、

苦に悩まされない悟りの境地に達するとし(滅諦)

さらに、この苦を滅する修行方法は、八正道の実践である(道諦)と説かれたのです。

 

「苦諦」

 

人間の生が苦しみであること、この世は一切が苦である。

そして、その苦しみを詳しく説かれたのが「四苦八苦(しくはっく)」です。

 

四苦八苦(しくはっく)

  • 1.生苦(しょうく) 生きるということは苦である。
  • 2.老苦(ろうく) 老いていくことは苦である。
  • 3.病苦(びょうく) 病にかかることは苦である。
  • 4.死苦(しく) 死ぬということは苦である。
  • 5.愛別離苦(あいべつりく) 愛するものと別れるのは苦である。
  • 6.怨憎会苦(おんぞうえく) 怨み憎む者と会うのは苦である。
  • 7.求不得苦(ぐふとっく) 求めても得られないのは苦である。
  • 8.五蘊盛苦(ごうんじょうく) 五蘊とは色・受・想・行・識のこだわりの苦しみ。

 

生苦(しょうく) とは、生きる苦しみのことです。

天下を統一した偉人、大文豪でさえも、生きることに苦しみました。

人の一生は重荷を背負って遠き道を行くがごとし」徳川家康

「人生は地獄よりも地獄的である」芥川龍之介

 

老苦(ろうく)、病苦(びょうく)、死苦(しく)

人は歳を取るたびに、基礎代謝も低下して、免疫力も落ちて、老化が進み、

体力の衰えから病気に罹りやすくなります。

そして、最後はガンや生活習慣病などに罹り、亡くなっていきます。

 

お釈迦様は、このように、生まれて死まで避けては通れない4つの苦しみのことを、

生老病死(四苦)と説かれました。

 

愛別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)

愛する人とは、一時でも離れたくはありませんが、出会いには必ず別れがつきものです。

「会者定離」ともいい、苦しくとも出会った者同士の離別は定めなのです。

 

またアドラー心理学では「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と言われています。

それほど、苦手で相性の悪い人との関わりは、大きなストレスとなるのです。

 

求不得苦(ぐふとっく)とは、求めても得られない苦しみのことですが、

世の中には、欲しくても得られないものが沢山あります。

 

ビジネスでの成功、大きな家、良い車、好きな人が全く振り向いてくれなかったり、

病気にならない、歳をとらない、得たいと思っても、簡単には手に入らないことへの苛立ち、

その苦しみのことを求不得苦と言います。

 

五蘊盛苦(ごうんじょうくとは、人間の五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・身体感覚)で

感じるものや、心で感じる人間の肉体や精神活動すべてが物事に執着やこだわりをつくり、

苦しみを生むという事です。

 

「集諦」

 

煩悩、妄執、求めて飽かない愛執による行為が集まって苦を生みだす。

 

その苦しみを生み出す原因について、「煩悩」「妄執」「愛執」であると説かれました。

 

また、煩悩には全部で108あり、その中でも三毒の煩悩として貪欲、瞋恚、愚癡があり、

最も私たちを苦しめていると説かれました。

 

1.貪欲(とんよく) 必要以上に貪り、求める心。

 

貪欲の中でも、代表的な欲が5つあり、五欲(ごよく)と呼ばれます。

 

五欲(ごよく)

  • 食欲   …   食べたい、飲みたいという心
  • 財欲   …   少しでも多くお金を欲しがる心
  • 色欲   …   異性を求めあう心
  • 名誉欲 … ほめられたい、認められたい、馬鹿にされたくないという心
  • 睡眠欲 … 眠たい、少しでも楽がしたいという心

 

現代の社会心理学でも、人の行動の理由は、「快楽を追求する」「苦痛を避ける」

この2つが人間の根源的欲求と言われています。

 

人間はいつの時代でも、常に、苦痛を避けて、快楽を求める欲まみれの生活を

送っているのです。

 

2.瞋恚(しんに) 欲が妨げられると出てくる怒りの心。

 

欲を妨げられるなどの、自分の思い通りにならない事への怒り、憤り、憎しみの心で、

脳内ホルモンのアドレナリンが過剰に分泌されて、一度火が付くと止められない

 

自分より恵まれた人に対する妬みの心なども、瞋恚に含まれています。

 

現代人は、特にサラリーマンをやっていると、理不尽な出来事に

遭遇することが多いと思います。

 

取引先からの理不尽なクレームメールや電話、上司からの理不尽な要求などなど

近年では、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングとして、

「アンガーマネジメント」を取り入れる企業が増加しているそうです。

 

時代が変わっても三毒の煩悩からは逃れられないのでしょうか?

 

3.愚癡(ぐち) 真理に対する無知(ねたみ、そねみ、うらみ)の心。

 

因果の道理を知らず、愚かで無知な心で、仏法の教えを理解できないこと。

 

嘆き、泣きごと、不平不満など、言っても仕方ない事を言って、

自分で自分を苦しめること。

 

ほとんどの現代人が陥っている、いつも、できない理由を考えることも

愚痴の一つです。

「親のせいで勉強が嫌いになった」

「上司が悪いから成績があげられない」

など、いつもできない理由を、他人や環境のせいにします。

 

因果の道理で言うところの「自因自果」の考えから行くと、自分のやった行いは、

全部、自分に返ってきます。

 

しかし、いつもできない理由を、他人や環境のせいにする人がいますが、

他人のやった行いが、自分に返ってきているという「他因自果」になり、

因果の道理に反することになります。

 

「滅諦」

 

煩悩を絶滅することで、苦しみを滅した悟りの境地に達する

 

「集諦」では、「煩悩」「妄執」「愛執」が苦しみであり、

特に三毒の煩悩によって苦しむと説かれています。

 

それに対して、悟りを開き、心の持ち方を変えて煩悩を捨て、執着を断ち切れば、

苦は滅するという真理のことを「滅諦」と言います。

 

現代生活は、経済的に豊かになり、科学技術の進歩とともに、

より便利で快適な生活が送れるようになりました。

 

幸せになるために、苦しみを無くすために、庶民の声という欲を追求した結果、

より便利で快適な生活が送れるようになりました。

 

しかし、これだけ便利になったにも関わらず、今なお手に入らないのが本当の幸せです。

 

お釈迦様は、今から2600年以上も前から、究極の目的である煩悩が滅した世界である

悟りの状態、究極の幸せの状態「涅槃」があることを教えられて、真の幸福に至る方法を

説かれてきました。

 

「道諦」

 

お釈迦様は、苦を滅する八つの正しい道として、「八正道」を教えられ、

そのためには、悟りに導く実践として、八正道に励むべきである、と説かれました。

 

正見・正思・正語・正行・正命・正精進・正念・正定からなる、八つの正しい道です。

 

 

本当に苦を滅する道は、苦から逃れようと努力することではなく、

正しくものごとを見て、正しく考え、正しく語り、正しく行為し、正しく生活し、

正しく努力し、正しく念じ、正しく心を定める、と説かれたのです。

 

現代生活では、人間関係のトラブルなど、皆がそれぞれの主観で話しをして、

自分の主張を通そうとすることで問題が複雑化してしまいます。

 

  • 1.物事を客観的にありのままに見るという「正見」
  • 2.物事にネガティブなラベルを貼らずに、正しく考え判断する「正思惟」
  • 3.嘘、無駄話、他人を仲違い、悪口など粗暴な言葉を発しない「正語」
  • 4.殺生を離れ、盗みを離れ、性的関係を離れる「正業」
  • 5.胸を張って堂々と他人に言える仕事を生業にして、正しい生き方をする「正命」
  • 6.正しく努力する「正精進」
  • 7.常に今現在の内外の状況に気づいた状態(マインドフルネス)でいる「正念」
  • 8.正しい集中力(三昧、サマディー)を完成する「正定」

 

これらの八つの正しい道は、現代人の多くの人のストレスとなっている、

複雑な人間関係によるトラブル、ビジネス上の責任問題、理不尽な要求など、

これらの「苦」を滅することにも役立つのではないでしょうか?

 

お釈迦様は、これらの実践により、正しく苦を滅していけると説かれています。

 

三転十二行相(四諦の完成にいたる)

 

お釈迦様は先の4つの聖なる真理「四諦」を説かれる際に、3段階に分けて

実践的に説かれたそうです。

 

その3段階というのは

三転十二行相

  • 1.なるほどそうだったんだ!と納得する段階
  • 2. 実際にやってみるか!と自分でやってみる段階
  • 3.確かにそうだった!と自分で実体験として確認する段階

 

というもので、4つの真理を3段階で説いたことから

4×3=三転十二行相と言われています。

 

このようにしてお釈迦様は5人の修行仲間に対して、実践指導もしながら、

3ヶ月にわたって教えを説いたとされています。

 

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